ミヤマウズラの育成記録



 ミヤマウズラは全国に分布していて、主に山地の林床や林縁に生えています。管理人の住む京都府では最もポピュラーな地生ランでです。葉に白い斑が入っているのが普通で、斑の模様は個体によって微妙に違います。花は夏に咲きますが、花穂につく白色または淡紅色の小さな花は目立ちません。ミヤマウズラは葉を楽しむ植物だと言えます。多年草で常緑なので、冬でも地上部の葉は枯れません。しかし花をつけた茎は、その年の冬に枯れることがあるので、地下茎まで枯れないように注意する必要があります。植栽の方法としては、市販の用土を利用する方法と、ミズゴケ栽培の方法があります。どちらでも同じように育ちますが、ミズゴケ栽培の場合は、年に1度の植替えが必要です。古くなったミズゴケが腐って、有害な菌がミヤマウズラを枯らすことがあるためです。

 ここでは、管理人が市販の用土を使って栽培しているミヤマウズラのライフサイクルを紹介しています。 
ミヤマウズラ  3月上旬  植え付け

 山採りしてきたミヤマウズラを植え付けました。ここでは浅めの植木鉢を使っていますが、この時はこの鉢しかなかったためで、普通の素焼き鉢でも問題はありません。

 植え付けたあと、用土の乾燥を防ぐために庭のコケを一つまみ土の上に載せておきました。(画像はコケを載せる前のもの)

 
ミヤマウズラ  6月下旬  根付いたミヤマウズラ

 植栽してから約3ヶ月半が経過しています。コケは表土を覆っています。実際に山地では、このようにコケの上に生えていることの多い植物です。

 少し茎がのびてきています。こうした個体は8月に花をつける個体です。
ミヤマウズラ  7月中旬  花茎が真っ直ぐのびてきました

 花茎がのびて、上部にツボミが見えてきました。私としては正直あまり嬉しくはありません。葉と葉の間に大きな隙間ができて、間延びしたような姿はこの植物の魅力を削いでしまいます。葉は互いに接近して、キュッと締まった感じが好ましいと思います。


 
ミヤマウズラ  8月下旬  花期のミヤマウズラ

 大小それぞれの株で花が咲きました。花期は比較的長いので、「花が可愛くて好き」という人には嬉しい植物です。
ミヤマウズラ   11月下旬  花茎を切り落としました

 花が終わると、ミヤマウズラは結実率が高いので果実が多くできます。しかし果実をそのままにしておくと、植物の栄養の多くを種子に取られてしまいます。種子が成熟したところで、専門知識や設備が無いと、ラン科の植物は種子による増殖がほぼ不可能なためまったく意味がありません。

 そこで不要な花茎をカットして、開花で疲れた植物体に栄養が行きわたるようにします。
 植栽の場合、花茎を放置しておくと茎が枯れてしまうことがよく起こるように思えます。
ミヤマウズラ   12月中旬  新芽ができています

 ミヤマウズラの茎の下部から新芽が出てきました。仮に親株が枯れてきても、親株を切り離してこの新芽を育てることで種をつなぐことができます。
 花茎を切らずに果実を残していると、こうした新芽に栄養が行かない場合もあるので、やはり花後は花茎をカットした方が良いと思います。
ミヤマウズラの栽培記録(動画)
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2018年の記録
 
 基本的には鉢植えで育てます。上の画像のミヤマウズラに使用している用土は、硬質鹿沼土(小)と桐生砂の混合土に腐葉土をやや多めに混ぜたものです。肥料は与えていません。2年に1回程度の植替えをすれば、肥料は特に必要ないと考えています。ミヤマウズラは背の低い小型の植物で、自生地では他の植物の枝葉によって直射日光をあまり受けていません。ですから置き場所はやや明るいめの半日陰が適しています。ただまだ陽射しが柔らかい春先などは直射日光に当ててやる方が、草姿が締まったものになります。耐寒性はあります。耐暑性もありますが、夏場は必ず風通しの良い場所に置くようにします。湿地性の植物ではないので、用土を常に水浸しにする必要はありませんが、土の表面が乾いて来たら冬でも水を与えるようにします。増殖は種子が発芽することは見込めないので、最下の画像のように、新芽が出たら親と切り離して株分けする方法になります。切り離した親株も、茎の部分を用土やコケに挿しておくと、よく発根します。

 (サイト内リンク)自生地のミヤマウズラ(動画有り)     

 
(最終更新日 2018年12月16日)


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