オオイタビ

 クワ科イチジク属の常緑ツル性樹木(学名:Ficus pumila)

 関東地方南部以西の本州、四国、九州に分布。京都府自然環境目録未記載種。茎から気根が出て、他の樹木や岩壁に這い上がり、それら基物から離れた枝は下垂する。葉は互生。葉柄があり、葉身は長さ4~10cmほど。全縁で先端は鈍頭。葉の表面に光沢がある。葉の裏面は白緑色で、白い葉脈が網状に浮き出てよく目立つ。葉には2形あり、幼木の葉は長さ1~2cmほどで縁は全縁。若い枝には褐色の短い伏毛が密生し、成木の葉は表面は無毛で裏面もほぼ無毛。枝や花序柄、葉柄を折ると乳液状の粘りのある樹液が出る。雌雄異株で、雌雄とも葉腋に隠頭花序を1個つける。花序は花嚢と呼ばれる。受粉はイチジクコバチ類に100%依存していて、雌バチは雄花嚢の中で産卵し、仔バチが幼虫の間は雄花嚢内にある不稔の雌しべに虫えいを作って成長し、成虫になるとすぐさま花嚢の中で交尾する。交尾後雄バチは死に、雌バチは雄花嚢から外へ出る。その時雌バチの体に花粉がつき、次に雌バチが雌花嚢の中に入ると受粉される仕組みになっている。上手く受粉でき、雌花嚢が熟すと食べることができる。よく似たヒメイタビの葉はやや小さく、葉柄や葉脈に開出毛が生えている。またヒメイタビの幼木の葉には不規則な鋸歯のあるものが多い。下の画像のオオイタビから約4kmほど離れた場所では、法面の緑化で植栽されたオオイタビがあり、画像のものも植栽の可能性がある。

 花期は5-7月頃。


オオイタビ オオイタビ
山の斜面に生えるオオイタビ  2016年11月  右京区京北 上方から垂れ下がる枝  2016年11月  右京区京北
オオイタビ オオイタビ
枝には短い伏毛が密生している  2016年11月  右京区京北 若い枝と葉柄  2016年11月  右京区京北
オオイタビ オオイタビ
幼木の葉 鋸歯は無い  2016年11月  右京区京北 成木と幼木の葉の比較  2016年11月  右京区京北
オオイタビ オオイタビ
葉の表面  2016年11月  右京区京北 葉の裏面  2016年11月  右京区京北
オオイタビ オオイタビ
葉の裏面 殆ど無毛  2016年11月  右京区京北 折った断面から出る樹液  2016年11月  右京区京北
オオイタビ オオイタビ
雄花嚢  2016年11月  右京区京北 雄花嚢 先端に穴が開いている  2016年11月  右京区京北
オオイタビ オオイタビ
雄花嚢  2016年11月  右京区京北 赤い部分は虫えいができている不稔の雌しべ  2016年11月  右京区京北
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