ウラシマソウの育成記録



 ウラシマソウはサトイモ科テンナンショウ属の多年草で、全国に分布している日本の野草です。山地の湿った場所で生育しています。この仲間は全草に有毒成分を含むと言われ、シカなど動物の食害に遭うことはありませんが、観賞価値が高いため盗掘に遭うことが多く、口丹波で野生のものに出会ったことはありません。地下の比較的浅い場所に芋(球根)があり、早春に芽を出して4~5月頃に開花します。草丈は40~50cmほどで、葉を1枚だけ出し、鳥足状に11~17枚の小葉がつきます。花序は仏炎苞と呼ばれる苞葉の中にあって、小さな花が多数つきますが中は覗いてもよく見えません。花は葉よりも低い位置で咲くので、日傘をさしているような格好で咲いています。ウラシマソウの最大の特徴は花序の先端からのびる付属体と呼ばれるものが、釣り糸状に長くのびるところです。これを釣り糸を垂らす浦島太郎に例えてウラシマソウを名付けられたそうです。またこのテンナンショウ属の植物は雌雄異株で、大きさによって性転換するそうです。芋が小さい若い間や、生育環境が悪くて大きくなれなないものは雄株で、芋が太ってくると雌株に転換し、雌株も何らかの理由で痩せてくると雄株に戻ると言われています。
 ウラシマソウの育成は容易です。市販の用土に芋を浅く植えて、明るく風通しの良い日陰に置いて、通年水切れしないように管理すれば枯れることはないでしょう。植替えは休眠期の晩秋から冬の間に行い、3月上旬頃に固形肥料を適量散布し、花後にもう1度散布するのがいいと思います。ただし与え過ぎはよくありません。

 ここでは、植栽しているウラシマソウのライフ・サイクルを紹介しています。 
 5月上旬  開花したウラシマソウ

 大きな植木鉢で寄せ植えしています。大きな葉を出した2株が花をつけました。
 5月上旬  開花したウラシマソウ

 付属体は濃い紫褐色をし、仏炎苞から飛び出して長くのびています。

 花後の管理は、夏に気温が上がってきますので、土中の水分が蒸れないように注意します。

 ウラシマソウは耐寒性には優れていて、冬季でも屋外に置いて大丈夫ですが、耐暑性、特に蒸れには十分注意してください。
 10月下旬  芋を掘り出しました

 葉も枯れた晩秋、土中から芋を出すと根も枯れてついていません。想像以上に子芋ができていてビックリです。この子芋を親芋から分離して移植することで数を増やすことができます。育成も増殖も簡単に行えるうれしい野草です。
 10月下旬  掘り出した芋を大きさで分けて移植しました

 この鉢には大きな芋2個(上の画像で開花していたもの)を移植しました。用土は小粒の赤玉土と桐生砂を5:5の割合で混ぜ、腐葉土も混ぜています。
 ここから3月頃までは休眠期ですが、用土が乾かないように定期的な灌水が必要です。
 3月中~下旬  新芽が出てきます

 この芽が出る前に、土中では白い根を多数出しています。エネルギーを必要とする時期なので、肥料を撒いてやりました。私は遅効性の固形肥料のみで栽培していますが、薄めた液肥なども効果的なようです。しかしいずれにしても与え過ぎないように注意します。
ウラシマソウの栽培記録(動画)
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2018年の記録
 
 鉢植えでの育成を推奨します。季節によって移動できるので、夏場の管理がしやすいです。毎年多くの子芋ができることもあって、植替えは1年に1度、11月~2月ぐらいの間に行い、新鮮な用土と腐葉土に交換してやればいいと思います。根がのび出すと、移植時に根を傷める可能性もありますので注意が必要です。テンナンショウ属の仲間には、ウラシマソウのような子芋を殆どつけないものもあるので、種類によって増殖の仕方は変わりますが、育て方はほぼ同じようなスタイルで大丈夫だと思います。

 自生地のウラシマソウ(サイト内リンク)

(最終更新日 2019年1月18日)
  


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