サギソウの育成記録



 サギソウは日本に自生するラン科の野草です。常に地面が湿った陽当たりの良い湿地周辺に生え、秋から冬にかけて偽球(球根)を毎年更新して種をつないでいます。サギソウを育てる時には大雑把でも自生環境を知り、その環境に近づくような育成方法が必要です。例えば湿地では、土中の水は常に流動的です。ですからサギソウには、常に新しい水が必要になります。サギソウの用土は、土ではなくミズゴケ(市販の乾燥ミズゴケ)を使用するのが最適です。ミズゴケは保水性に優れていますが、夏場に陽当たりの良い場所に置きっぱなしにしていると、水の温度は上昇し蒸れてしまいます。そこで上から冷たい水をたっぷりとかけてやり、蒸れやウイルス、雑菌などの繁殖を防ぐように心がけます。またミズゴケは1年で相当傷むので、年に1度、芽を出す前に必ず植替えを行います。この植替えをしないと、数を増やすことも、長期育成もできないと思って下さい。

 ここでは、植栽しているサギソウの植替え時期とライフ・サイクルを紹介しています。 
サギソウ  10月中旬  立ち枯れの状態です。

 8月中旬から9月初旬に開花したサギソウの地上部は、秋から冬にかけて完全に枯れてしまいます。

 サギソウは偽球(球根)から芽や茎、根を出します。花後に地下茎を2~3本出して、その先端に新しい偽球をつくります。サギソウをはじめラン科の植物は、種子での増殖はほぼ不可能なため、翌年もサギソウの花を見たいと思うと、この新しい偽球が大切になります。従って上手く育てて、前年の2~3倍の数に増やせる計算です。
サギソウ  1月中旬  地上部が完全に枯れた状態です。

 ミズゴケに下では、前年の偽球や根も枯れ、小さなイモのような形の新しい偽球だけが残っています。
サギソウ   3月上旬~中旬  偽球を掘り出します

 十分に太った偽球を掘り出し、新しいミズゴケを敷き詰めた浅めの植木鉢やプランターに移植します。偽球は深く植えず、適度な間隔を置いて1個ずつ丁寧に植え付けます。
サギソウ  4月下旬  芽が出てきました。

 芽が出てくると、できるだけ明るい屋外に置き、十分に光合成ができるように育てます。移植後、芽が出る前もそうですが、ミズゴケには十分な湿り気が必要です。
サギソウ   8月上旬  背がのびて、ツボミもたくさんできています。

 早いものでは、この時期から開花し始めます。真夏ですが蒸れさえ注意していれば、陽当たりの良い場所に置いていても大丈夫です。しかし風通しの良い場所を選ぶようにして下さい。
サギソウ  8月中旬~下旬  開花のピークです。

 花1個は3日ほどで終わってしまいます。できるだけ多くの株で、長く花を楽しみたいので、最初は園芸店などで1鉢3球ほどのものを購入されても、毎年少しずつ増やしていくように頑張って下さい。



 
 京都府では絶滅寸前種に指定され、管理人の住んでいる町の周辺にはおそらく自生していません。それゆえ野生のサギソウは実際に見たことがありません。サギソウはウイルスなどによる病気に弱く、自然環境の少しの変化で絶えてしまうことがあるようです。そのため年に1度の植替えは必ず行うようにします。その時間や手間を惜しむと、長く育てることはできない野草です。

 サギソウは管理人の別サイトで販売をしています。新規ご購入をお考えの方は1度チェックしてみて下さい。販売のページはコチラです。

(最終更新日 2015年10月4日)


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