クモキリソウの育成記録



 クモキリソウは栽培の難しい野草だと言われています。
 特に温度と湿度の管理が難しく、日本の一般的な住宅地において四季を通じて適切な管理が困難なためだと思います。私の家は山から少し離れた住宅地ですが、幸いなことに環境が適しているようで、本種や本種に近縁なジガバチソウ、ギボウシラン、コクランとも、屋外で元気に育っています。
 中でも本種、コクラン、ジガバチソウは、もう何年も株の維持ができていて、毎年根元付近には子株も誕生し数を増やしています。
 野生では、本種とコクランは半日陰というよりも、終日薄暗い場所に自生していて、ジガバチソウはそれよりも明るい目を好むように思われます。ギボウシランについては京都府には自生していないので、野生の環境は不明です。自宅ではそれらすべての種を同じ場所に置いています。

 ここでは、植栽しているクモキリソウのライフ・サイクルを紹介しています。同属のコクランやジガバチソウ、ギボウシランにも共通していますので、参考にしていただければ幸いです。(※ コクランは同属の中で栽培は比較的容易ですが、常緑なので霜に当てないように管理します)
クモキリソウ  2011年5月中旬  新葉がのびてきました。

 
クモキリソウ  2011年6月上旬  花茎がのびて、ツボミが膨らんできます。
クモキリソウ  2011年6月上旬  開花が始まりました。

 下の方から順に咲いていきます。
クモキリソウ  2011年6月上旬  偽鱗茎です。右から徐々に大きくなった歴代のものが並んでいます。このクモキリソウは長く育成しているものです。
クモキリソウ  2011年11月上旬  物凄くスキップしましたが晩秋から初冬にかけてのクモキリソウです。夏緑性の植物なので、冬を前に葉は枯れてしまいます。偽鱗茎は枯れません。

 「冬は寒かろう」と、偽鱗茎の上に土などを載せてはいけません。偽鱗茎は土の上にチョンと乗っかている程度がちょうどいいです。
クモキリソウ  2012年4月中旬  発芽前のクモキリソウ。

 寒い間に移植したものです。

 梅干しのようにシワだらけです。

  この植木鉢に使用している土は市販の桐生砂です。腐葉土は使わず、秋に集めた広葉樹の枯葉をちぎって混ぜています。肥料は一切使用していません。

 薄皮に包まれたような偽鱗茎には、前年の葉や花茎が残りますが、新芽が出る前にハサミでカットします。(見た目の問題で、残っていても支障はありません)
クモキリソウ  2012年5月上旬  新芽が出てきました

 新芽は前年の偽鱗茎から出るのではなく、新しい偽鱗茎を作って、そこから出てきます。この時、新しい偽鱗茎はそれほど大きくありません。徐々に大きくなっていきます。
クモキリソウ  2012年5月中旬  別の植木鉢のクモキリソウ

 山土で育てているクモキリソウです。親株の葉は随分と大きくなり、根元にできた子株も順調に生育しています。
 子株は分けて育てた方が早く生長しますが、植木鉢の数や置き場所の関係で、これ以上増やすのが難しいためにそのままにしています。
クモキリソウ  2012年9月中旬  果実が膨らんで色づいてきました。
クモキリソウ  2012年11月中旬  葉が枯れていきます。

 画像で黄色く色づいているのはすべてクモキリソウです。子株の葉も順次枯れていきます。
クモキリソウ  2013年6月上旬  寄せ植えです。

 12年の画像に花がなかったので、13年の開花の様子をUPしました。
 
 灌水は毎日1回、午前中か夕方か、どちらかに決めて行います。夏場は朝夕2回行います。屋外で育てるときは植木鉢に水を与えるだけでなく、周囲の土にもたっぷりと散水します。これはクモキリソウ周辺の空中湿度を高める効果があると信じています。私は植木鉢の表土を必ずコケで覆うようにしています。ハイゴケなら少しの量を鉢の土の上に置き、最初はコケの上に重しの石を置いておくと、半年もすれば表土一面を覆うほどに増えるので簡単です。コケは土中の水分の蒸発を抑え、特に夏場の断熱効果が見込めます。土は湿った状態を維持しなければなりませんが、蒸れないように注意も必要です。夏の夕方に灌水するのは、鉢全体の熱を冷ます意味でも重要です。

 (サイト内リンク) 自生地のクモキリソウ(動画有り)   自生地のコクラン(動画有り)   自生地のジガバチソウ(動画有り) 
  


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