キクバヤマボクチの育成記録
キクバヤマボクチの花はアザミの花に似ていますが、同じキク科でもヤマボクチ属の野草で、アザミ属ではありません。ヤマボクチの仲間は、京都府内では数種類が知られていますが、私はキクバヤマボクチしか出会ったことがありません。どのヤマボクチも山地に生え、平地でこの花を見ることはできません。キクバヤマボクチは大きなものでは大人の背丈ほどにものびて、たくさんの花を咲かせます。最初は小さな株で育てても、年々株が大きくなるので、できれば新芽が出る前に一回り大きい鉢に植え替えをしてあげる方がいいでしょう。また山地でも乾いた場所にはありません。渓流沿いの谷や山の北側のやや湿った半日陰地に生育しています。この点を十分理解して育てると、比較的育成は容易な野草です。 ここでは、植栽しているキクバヤマボクチのライフ・サイクルを紹介しています。 |
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3月下旬 前年と同じ場所から新芽がでます。 前年の根生葉や茎が枯れたまま残っています。その根元から新芽が出て来ます。新芽は早い年では2月下旬頃に出ることもあります。そのような年で、発芽以降にまだ霜が降りるようだと、一時軒下か明るい屋内に避難させましょう。 |
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7月中旬 新葉の展開。 大きな根生葉が出て、茎がのび始めます。基本的に茎は直立します。 |
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9月中旬 ツボミができました。 茎は上部で枝を分け、各枝先にツボミができます。茎や葉にはトゲがありませんが、ツボミはトゲで守られた状態で膨らんでいきます。しかしここから開花までは約1月かかります。刺は鋭いですが、強く握らない限り痛くはありません。 |
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10月下旬 開花が始まります。 アザミに似た花は秋に咲きます。山野では花をつけすぎた茎が、自重で倒れそうなほど傾いているものを見かけます。 |
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11月上旬 開花期 そんなに大きくない株でも花をつけますが、大きな株になるとより多くの花をつけるようになります。花期は長く、左の画像のもので11月下旬頃まで花が見られました。 |
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花が終わり種子が成熟し終えたら、地上部の葉や茎は枯れ、地下の部分だけで越冬します。ですから冬も土が乾かないように注意します。特に晴れた日が続くような時には、1日1回気温の上がる昼前後に水を与えるようにしています。山野草なので耐寒性は優れています。少々霜に当たっても枯れることはありませんが、あまりにも低温となる地方などでは屋内か温室に入れて管理しましょう。積雪については特に問題はないと思っています。 夏はできるだけ風通しの良い場所に置くようにします。涼しい山地に自生する植物なので、猛暑と蒸れには一番注意します。用土は水はけの良いものを使いますが、市販の赤玉土に川砂や桐生砂などを適度に混ぜたもので問題ありません。毎年植替えをする場合は、腐葉土を混ぜておけば特に肥料は必要ありません。種子の採り撒きで数を増やすことができます。 (サイト内リンク)自生地のキクバヤマボクチ (最終更新日 2016年1月29日) |
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キクバヤマボクチの自生の様子(動画) | |
2018年10月・11月(京丹波町) |
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