アオイスミレの育成記録
アオイスミレは有茎種と呼ばれるスミレの1つで、口丹波地域の山地に広く生育しています。夏の葉が花期である春の葉よりも大きくなるスミレ類は多く、アオイスミレも夏葉は大きくなり、その形がアオイの葉に似ているところからアオイスミレと命名されたといいます。また同じような理由で、フキの葉に似るのでヒナブキ(小さなフキ)という別名もあるようです。 アオイスミレは山地の渓流に沿った林道端などに生え、半日陰のやや湿った場所を好んでいるように思えます。本種に限らず、野草を栽培する時には、こうした自生環境を知ることが重要です。 アオイスミレは常緑で、厳冬期にもせっせと水を揚げ、まだ寒い時期から開花し始めます。当地の野生のスミレ類の中で、最も早く開花するスミレです。このページで、アオイスミレの1年をご覧下さい。 |
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2月上旬 昨年の秋に出た葉が残っています。 アオイスミレは常緑です。冬季でも適度に潅水する必要があります。 また2月に入れば新葉や花の準備が始まっています。 |
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2月上旬 ツボミが現れます。 いくら開花が早いと言っても、まだこの時期には開花しません。花が見られるのは、もう少し先になります。 |
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3月上旬 一番花が咲きました。 毎日観察をしているわけではないので、正確かどうかは不明ですが、左の花がこの年の一番花だと思われます。 「わが家に春が来た~!」と感じさせてくれる嬉しい花です。 |
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3月中旬 満開です。 ちゃんと面倒を見てやれば、花数は多くつきます。 |
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7月中下旬 花後の葉。 花後、葉はどんどん大きくなって、匍匐枝も多く出て来ます。 またこの頃には開花しない閉鎖花も観察できます。閉鎖花はよく結実し、播種による増殖を考えた時、種子を採取するタイミングを逃さないように注意が必要です。 |
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7月中下旬 匍匐枝。 根元や茎の各節から匍匐枝が伸びています。この枝を地面に接するようにしてやると、枝の節の部分から根が出ます。根を確認した後に親株から切り離すことで殖やすことができます。 |
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8月中旬 果実。 閉鎖花からできた果実で、この中に未熟な種子が詰まっています。種子が成熟すると果実は弾けます。 |
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12月上旬 冬を迎えたアオイスミレ。 大きな夏の葉は枯れ、小さな葉が中心となります。これらの葉は枯れずに越冬します。 |
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上の画像のアオイスミレは、比較的小さくて浅い鉢に入れていますが、スミレのためには、もう少し深めの鉢が適していると思います。用土は桐生砂と硬質赤玉(小)の混合土に腐葉土を少し足しています。1年を通して屋外の樹木(落葉広葉樹)の陰に置き、用土が乾かないよう、様子を見ながら水を遣ります。特に病気に罹ったことはありませんが、蝶のツマグロヒョウモンの幼虫には注意が必要です。この幼虫はスミレ類の葉を好んで食べます。増殖は種の採り撒きか、伸びた匍匐枝の節から発根するようにその部分を土につけてやり、発根後に親株から切り離す方法がありますが、後者の方が簡単です。 (サイト内リンク)自生地のアオイスミレ (最終更新日 2016年9月20日) |