ベニバナヤマシャクヤク(シロバナベニバナヤマシャクヤク)

 ボタン科ボタン属の多年草(学名:Paeonia obovata)

 全国の山地に分布し、口丹波地域では木漏れ日が差すような林床に生え群生することも多い。太い地下茎があり、根は地中深くのび、大きな株では地上茎を5本以上も出す。普通直立する地上茎の上部で葉を出すので、草姿はスッキリした感じを受ける。草丈は50~60cmほど。葉は2回羽状3出複葉で一般的には葉の裏面に毛が生えているものを本種とし、無毛のものはケナシベニバナヤマシャクヤクと呼ばれるようで、府内にはどちらも自生している。ただし無毛タイプの方が圧倒的に多く、両者を分けずにベニバナヤマシャクヤクとしているという。また基本種の花色は淡紅色または紅色であるが、府内のものは白色のものが多くシロバナベニバナヤマシャクヤクと呼ばれる。花は開花後2~3日で散る。果実は袋果で秋に熟し、果実が弾けると黒紫色の種子と紅色の不稔の種子が現れる。不稔の種子の紅色は鮮やかでよく目立つ。白花でよく似たヤマシャクヤクとの違いは、草姿や雌しべの数(ヤマシャクヤクは1~3個、本種は2~7個)が参考になるが紛らわしいものもある。一番判りやすいのは花柱の形で、ヤマシャクヤクは弓型~U字状に曲がっているのに対して、本種は不規則な渦状の曲がり方をしている。また花期はヤマシャクヤクよりも約1月遅い。京都府のRDBでは絶滅寸前種にランクされているが、シカの忌避植物でもあり、口丹波の山中で白花品と出会うことは多い。

 口丹波での花期は6月上旬。


ベニバナヤマシャクヤク ベニバナヤマシャクヤク
草姿  2016年5月  京丹波町 花の中の様子  2016年5月  京丹波町
ベニバナヤマシャクヤク ベニバナヤマシャクヤク
2013年6月  南丹市 2013年6月  南丹市
ベニバナヤマシャクヤク ベニバナヤマシャクヤク
2013年6月  南丹市 2013年6月  南丹市
ベニバナヤマシャクヤク ベニバナヤマシャクヤク
2013年6月  南丹市 2013年6月  南丹市
ベニバナヤマシャクヤク ベニバナヤマシャクヤク
2013年6月  南丹市 花柱は渦状に強く捻じれる  2013年6月  南丹市
ベニバナヤマシャクヤク ベニバナヤマシャクヤク
2013年6月  南丹市 2013年6月  南丹市
ベニバナヤマシャクヤク ベニバナヤマシャクヤク
2013年6月  南丹市 葉の裏側   2013年6月  南丹市
 花色には個々に濃淡があり、白花の品種もある。白花はシロバナベニバナヤマシャクヤクと呼ばれ、ヤマシャクヤクとの見分けは難しい。口丹波に自生するシロバナベニバナヤマシャクヤクの葉は無毛のものが多い。いつもお世話になっているM先生はこの花をシロムクベニバナヤマシャクと呼ばれているそうで、とても素敵な名前だと思う。
シロバナベニバナヤマシャクヤク シロバナベニバナヤマシャクヤク
ヤマシャクヤクの開花時期に茎がのびる  2014年5月  南丹市 果実と種子  2013年9月  京丹波町
シロバナベニバナヤマシャクヤク シロバナベニバナヤマシャクヤク
2013年6月  南丹市 2013年6月  南丹市
シロバナベニバナヤマシャクヤク シロバナベニバナヤマシャクヤク
2013年6月  南丹市 2013年6月  南丹市
シロバナベニバナヤマシャクヤク シロバナベニバナヤマシャクヤク
2013年6月  南丹市 足元がスッキリとした草姿  2013年6月  南丹市
ベニバナヤマシャクヤクとシロバナベニバナヤマシャクヤク(動画)
2018年5月  京丹波町・右京区京北ほか
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