アキタスズムシソウ

 ラン科クモキリソウ属の多年草(学名:Liparis longiracemosa Tsutsumi, T.Yukawa et M.Kato)

京都府レッドデータ・ブック2015において、スズムシソウは「要注目種」にランクされているが、これは府内産の標本が残っておらず、種の同定が困難であるためで、本来なら「絶滅寸前種」相当であると記載されています。実際スズムシソウ群が「スズムシソウ」「セイタカスズムシソウ」「アキタスズムシソウ」の3種に整理分類されたのは2019年とつい最近のこと。そのうちのアキタスズムシソウの京都府における発見例は1933年(旧北桑田郡京北町)、1980年(綾部市)、1997年(宮津市)、そして2020年(南丹市芦生)の4ヶ所のみ。≪「<短報>京都大学芦生研究林にてアキタスズムシソウを記録する」参照≫

2021年6月下旬、管理人がこの植物を見つけたのは上記の4ヶ所とはかなり距離の離れた山中で、林道沿いの湿った場所に大小約10個体程度が生育していました。スズムシソウの花期は5-6月と早く、花の唇弁も大きいので同定の候補から外し、残る2種の内の何れかであろうと思われました。それでも花期は終盤近くのようで、花茎には上部に数個の花がつくのみでした。果実は全体で1個だけ確認でき、結実率は決してよくないと思えます。この花は小さく、幅も狭いのが特徴で、メジャーで計測はしていませんが、幅は植栽しているギボウシランの花と同じぐらいの印象を持ちました。花茎に残る花の痕跡を見ると、花付きはまばらなことは確認できました。これらの特徴はアキタスズムシソウにあてはまると思い、ここではアキタスズムシソウとしています。またセイタカスズムシソウは京都府内未発見種のようです。


 花期は6-7月頃。



アキタスズムシソウ アキタスズムシソウの花
葉はクモキリソウに似ている  2021年7月  産地は非公開 花茎の高さは15~40cm  2021年7月  産地は非公開
アキタスズムシソウの花 アキタスズムシソウ
唇弁は緑色(帯暗紫色)  2021年7月  産地は非公開 花はまばらにつく  2021年7月  産地は非公開
アキタスズムシソウ アキタスズムシソウ
子房は捻じれて紅紫色  2021年7月  産地は非公開 花が古くなると淡褐色に変色する  2021年7月  産地は非公開
アキタスズムシソウ アキタスズムシソウ
唇弁の側面は下向きに曲がる  2021年7月  産地は非公開 葯帽の先端は嘴状  2021年7月  産地は非公開
アキタスズムシソウ(動画)
2022年6月  産地は非公開
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